2019年12月5日木曜日

🌟人権を尊重する市民の集いに参加

著書にサインをする大胡田さん


全盲弁護士の講演に感動!
「差別解消法」の理解を!









第48回福岡市人権尊重週間 人権を尊重する市民の集い(中央区)が4日、中央市民センターで開かれ、大勢の聴衆とともに、高宮校区からも人権尊重推進協議会のメンバーなどが参加し、意義深い講演を聴きました。

講師は全盲の弁護士として知られる大胡田(おおごだ)誠さん(42)=東京在住。前半は、自身の生い立ちから弁護士になった理由、全盲であることによる仕事への支障をどう乗り越えたか、などをジョークを交えながら紹介。後半は、平成28年に施行され、講演の主題である「障害者差別解消法」を分かりやすく、平易な言葉で解説しました。

講演のテーマ

以下は、主要なお話である「障害者差別解消法」の解説に絞って紹介します。

「障害者差別解消法」は、主に次の2つの基本方針から成り立っているということです。

【障害を理由とする不当な差別的取り扱いの禁止】
 これは、正当な理由なく、財・サービスや各種機会の提供を拒否したり、場所や時間などを制限したり、障害者でない人には付けない条件をつけたりしてはいけないというものです。

 1事例として、不動産屋で「火が出たら危ないから」「段差があって危ないから」といわれて部屋を紹介してもらえなかったことをあげました。

 これについて大胡田さんは「障害者は火事を出しやすいというデータはないですし、自分の家の段差はすぐ覚えます。健常者が知らないのです」と指摘しました。

【合理的配慮の提供】
 行政機関や民間事業者は、障害者から申し出があった場合、過重な負担とならない限り「合理的配慮」を行わなければならないと、されています。例えば①車いすのために段差に携帯スロープを渡すなどの物理的環境への配慮②筆談などの意思疎通の配慮③休憩時間の調整など障害に応じたルール・慣行の柔軟な変更、です。

 不特定多数が対象のバリアフリーとは異なり、特定のケースについて、事前に問題を解消しておいても、なお不便などが残ることがあります。それをその場で個別に解消するのが大事だということです。

 大胡田さんは「障害者の申し出が過重な負担となりそうな場合は健常者と障害者が話し合うことをしてほしいです。建設的対話が重要です」と述べました。
講演中も笑顔の大胡田さん

また、大胡田さんは海外旅行が好きですが、12か国を訪れた経験から、日本の町は「心のバリア」に困ることが少なくないと指摘しました。

 「日本の都市の建物や交通機関のバリアフリーは世界トップレベルですが、障害者を外であまり見かけません。欧米では心のバリアが低い。グアムではできたスカイダイビングが日本では断られました。盲導犬を連れてコーヒー店に入れず、寒い中、外のテラス席に座り、悔しい思いをしました」などと語りました。

 最後に、「心とは誰かのことを思った時、その人との間に生じる感覚だといわれます」「街中で障害者を見かけたらその人のことを思ってみてほしい。それが社会を変える一歩になり、互いの心を豊かにしてくれるきっかけになると思います」と結んだ。

講演中、大胡田さんは常に笑顔を絶やさず、ソフトな口調で優しく語り掛けるように話しました。いくつもの困難を乗り越えながら、苦労を苦労と感じさせない話しぶりは、聴衆に深い感動を与えたようでした。


 生い立ちなどについては、著書「全盲の僕が弁護士になった理由」(日経BP社)に詳しく書かれています。これはテレビドラマ化されました。もう一冊は「決断」(中央公論新社)。大胡田さんは全盲の女性と結婚し、2人の子どもを育てています。2人で書いた本です。